Wi-Fi6とは何か?メリット・デメリット、Wi-Fi5と有線接続の比較も解説
無線でネットに接続できるWi-Fi。そんなWi-Fiは4Gや5Gなどと同じように、Wi-Fi5やWi-Fi6といった規格があります。
そこで疑問に思うのが、「なぜWi-Fiは新しい規格が誕生するのか?」といった点でしょう。
この記事では、Wi-Fi6が誕生した背景やWi-Fi6のメリット・デメリット、以前までのWi-Fi規格との比較を紹介します。
注意点やWi-Fi6対応のルーターを探すポイントを3つ紹介しているので、ぜひ最後まで読んで参考にしてくださいね。
Wi-Fi6とは?いつから誕生した?
Wi-Fi6は2020年1月に誕生した最新のWi-Fi規格のことです。
Wi-Fi6が誕生した理由は、主に2つあります。
- インターネットの普及
- 5G通信の普及
2つの理由について、詳しく解説します。
インターネットの普及
Wi-Fi6が誕生した1つ目は、インターネットの普及です。
近年のIT技術の革新やネットの普及に伴い、インターネット上での大量の情報を高速で処理する必要があります。
従来の規格のままでは膨大な情報を高速で処理するのが難しくなってきたため、Wi-Fi6が誕生しました。
5G通信の普及
2つ目の理由は、5G通信の普及です。
5G通信を最大限活かすには、従来のままでは快適に利用できません。
そこで、Wi-Fi6という新しいWi-Fiの規格を作ることで、5G通信のさらなる普及やインターネット通信の強化をし、さらに快適なネットライフを満喫できるのです。
Wi-Fi6の正式名称は「IEE 802.11ax」
Wi-Fiとは一般的な呼び方であり、現在では親しみやすい言葉となっています。
Wi-Fi6はWi-Fi規格の6番目ということであり、Wi-Fi6の正式名称は「IEE 802.11ax」です。
「Wi-Fi」という呼び方は知っているけど、「IEE、、、」というWi-Fiの規格名称を知らない人は多くいるでしょう。
Wi-Fiの正式名称は「IEE 802.11〇」となっており、「〇」の部分にWi-Fiのバージョンが記載されます。
従来のWi-Fi5は「IEE 802.11ac」であり、さらに前のWi-Fi4は「IEE 802.11n」です。
「IEE」は(アイ・トリプル・イー)と読み、米国電子学会が「IEE」という規格を定めています。
しかし、これでは呼びにくいということで、Wi-Fi Allianceという団体が、Wi-Fiという呼び方を世界に普及させました。
Wi-Fi6はどれくらい速度で利用できるのか解説
Wi-Fi6は、従来のWi-Fiのバージョンよりも高速に情報を処理できます。
では一体、以前までのWi-Fi規格と比較したときに、どれくらい速いのか気になる人もいるでしょう。
そこで、Wi-Fi6と以前までのWi-Fi規格と速度を比較して紹介します。
Wi-Fi5や従来のWi-F規格と比較
Wi-Fi6と従来のWi-Fiのバージョンと速度を比較してみます。
名称 | Wi-Fi規格名 | 最大通信速度 | 周波数 |
---|---|---|---|
– | IEE 802.11b | 11Mbps | 2.4GHz |
– | IEE 802.11a | 54Mbps | 5GHz |
– | IEE 802.11g | 54Mbps | 2.4GHz |
Wi-Fi4 | IEE 802.11n | 600Mbps | 2.4GHz/5GHz |
Wi-Fi5 | IEE 802.11ac | 6.9Gbps | 5GHz |
Wi-Fi6 | IEE 802.11ax | 9.6Gbps | 2.4GHz/5GHz |
表を見てみると、Wi-Fi6の最大通信速度は9.6Gbpsとなっています。
Wi-Fi5と比べると、約1.4倍も速い速度で利用できますね。
また、Wi-Fi6は2.4GHzと5GHzの両方に対応しているのがわかります。
2.4GHzや5GHzなどの周波数について解説
2.4GHzと5Ghzについて紹介します。
2.4Ghzは電子レンジやBluetoothなどと干渉しやすく速度は遅いですが、障害物に強いメリットがあります。
つまり、Wi-Fi機器から遠い場所でWi-Fiを利用するときに便利です。
一方で5GHzは、Wi-Fi専用の周波数帯であるため、電子レンジやBluetoothと干渉せず、速い速度で利用できます。
Wi-Fi6は障害物に弱いので、Wi-Fi機器に近い場所で利用するときに便利です。
Wi-Fi6は両方の周波数帯に対応しているので、部屋の間取りやWi-Fi機器を設置する場所に合わせて、周波数帯を使い分けることができます。
ただし、Wi-Fi6を利用するには、Wi-Fi6に対応しているデバイスやWi-Fi機器が必要になるので注意が必要です。
Wi-Fi規格の調べ方・周波数の調べ方を紹介
自分が現在どのWi-Fi規格を利用しているかを調べる方法があるので紹介します。
パソコンで調べる方法は、以下のとおりです。
- 設定を開く
- ネットワークとインターネットをクリックする
- Wi-Fiをクリック
- ハードウェアのプロパティをクリック
- プロトコルの項目をチェックする
- ネットワーク帯域をチェックする
プロトコルをチェックするとWi-Fi規格が記載されており、ネットワーク帯域をチェックすると周波数帯が記載されています。
スマホでは、どのWi-Fi規格を使用しているかの確認はできませんが、周波数帯を調べることはできます。
使用しているWi-Fiに「5G」と記載されていたら5GHzの周波数帯。
2Gと記載されていたら、2.4GHzの周波数帯を使用していることになります。
Wi-Fi6と有線接続との違いを比較
Wi-Fi6と有線接続との違いを比較していきます。
Wi-Fi6と有線接続を単純に比較すると、下記のようになります。
1段目左 | Wi-Fi6 | 有線接続 |
---|---|---|
最大通信速度 | 9.6Gbps | 10Gbps |
接続の安定性 | 〇 | 〇 |
動画の視聴による遅延 | ほぼなし | ほぼなし |
SNSなどの利用 | 快適 | 快適 |
オンラインゲームの利便性 | △ | 〇 |
実際には、Wi-Fi機器を設置する場所や使用している光回線、使用する時間帯などによって、どちらがより快適になるのかは異なります。
オンラインゲームにおいては、遅延やカクツキを防げる有線接続がおすすめです。
ですが、その他の用途においてはWi-Fi6で困ることはないでしょう。
Wi-Fi6のメリット
Wi-Fi6には、どんなメリットがあるのでしょうか。
Wi-Fi6のメリットは、以下の3つです。
- 古いWi-Fi規格よりも高速での通信が可能
- 複数のデバイスに接続しても回線が混雑しにくく安定する
- 使っているデバイスの充電を節約できる
従来のWi-Fiと比較しながら紹介します。
古いWi-Fi規格よりも高速での通信が可能
Wi-Fi6は、従来のWi-Fiよりも高速通信が可能です。
先ほども紹介したように、Wi-Fi5よりも約1.4倍の速さでネットを利用できます。
一度に膨大なデータを処理できるため、ストレスなく利用できるのが特徴です。
たとえば、ネットでのゲーム配信やデータ量の多いゲームのダウンロード、8Kや4Kといった高画質での映画の視聴などが挙げられます。
高速通信が可能になったことにより、映像が途中で途切れることやゲームが遅延することなくネットを利用できるのです。
さらに、Wi-Fi6は2.4GHzと5GHzに対応しています。
電波の状況やWi-Fi機器を設置する場所によって、周波数帯を使い分けられるのも大きな強みになります。
複数のデバイスに接続しても回線が混雑しにくく安定する
Wi-Fi6は電波が混雑しにくいのも大きなメリットです。
複数のデバイスでWi-Fiを使っていると、Wi-Fiが遅いと感じたり、つながりにくいと感じたりすることがよくあるでしょう。
Wi-Fi5は各デバイスに順番に電波が届く仕組みになっています。
複数の端末が1度にWi-Fiを利用すると、後からWi-Fiに繋いだデバイスは電波が届く順番が遅いためタイムラグが発生し、遅いと感じてしまうのです。
Wi-Fi6は「直交周波数分割多元接続(OFDMA)」と呼ばれる技術を採用しています。
これにより、多くのデバイスへ同時に電波を飛ばすことが可能になったため、「遅い」「つながりにくい」と感じずにネットを利用できます。
快適な環境でゲームをしたい、8Kや4Kで映像を見たい人はWi-FI6を利用したほうがいいでしょう。
使っているデバイスの充電を節約できる
WI-Fi6に対応しているWi-Fi機器は、接続先のスマホやパソコンのバッテリーを節約できるメリットがあります。
これは、TWT(ターゲットウェイクタイム)と呼ばれる機能が備わっているからです。
Wi-Fi6に対応している機器が、スマホやパソコンへのデータ通信のタイミングを自動で調整します。
データ通信が必要ないときに通信機能をスリープ状態へ移行させることで、消費電力を抑えられるのです。
従来のWi-Fi機器から移行すると、体感しやすいでしょう。
Wi-Fi6のデメリット
Wi-Fi6にもデメリットがあります。
Wi-Fi6のデメリットは、以下の2つです。
- Wi-Fi6対応のiPhoneが少ない
- Wi-Fi6対応のルーター(中継器)が少なく高額である
順に紹介します。
Wi-Fi6対応のiPhoneが少ない
Wi-Fi6のデメリットは、Wi-Fi6未対応のスマホがまだまだ少ないという点です。
Wi-Fi6を利用するには、デバイス側もWi-Fi6に対応していないと利用できません。
2022年2月現在でWi-Fi6を利用できるiPhoneは、以下のとおりです。
- iPhone 13シリーズ
- iPhone 12シリーズ
- iPhone 11シリーズ
- iPhone SE(第2世代)
iPhoneは上記のシリーズしか対応していないため、iPhone XSやXRなどはWi-Fi6の恩恵を受けることはできません。
Androidは、主に以下の端末がWi-Fi6に対応しています。
- Xperia 1 Ⅲ
- Xperia 1 Ⅱ
- Xperia 5 Ⅱ
- AQUOS R6
- AQUOS R5G
- arrows 5G
- OPPO Find X3 Pro
Androidはハイエンドモデルなら、Wi-Fi6を利用できる傾向にあります。
ただ、ハイエンドモデルは端末価格も高いことから、Wi-Fi6を利用するためだけに購入するのはあまりおすすめできません。
Wi-Fi6に対応しているスマホの見分け方
Wi-Fi6に対応しているスマホの見分け方を紹介します。
Wi-Fiの正式名称は先ほども紹介しましたが、「IEE 802.11〇」です。
スマホのスペック欄に「携帯電話/ワイヤレス通信方式」や「外部接続」、「通信・通話機能」という項目があります。
そこに「WI-Fi6」や「ax」「IEE 802.11ax」などと記載されていれば、Wi-Fi6に対応しています。
Wi-Fi6対応のルーター(中継器)が少なく高額である
Wi-Fi6が登場したのは2020年1月であるため、Wi-Fi6に対応しているWi-Fi機器はまだ少なく、価格も高いものが多いです。
Wi-Fi6に対応しているWi-Fi機器の価格は1万円~2万円程度します。
また、Wi-Fi6に対応している機器は、Wi-Fi6に対応していないスマホやパソコンでも接続できるので安心してくださいね。
Wi-Fi6対応のWi-Fi機器を選ぶポイント
Wi-Fi6に対応しているWi-Fi機器の数はまだまだ少ないですが、選ぶ際のポイントを3つ紹介します。
- アンテナの数で選ぶ
- バッファローやNECなどブランドで選ぶ
- インテリアとしても活躍するメッシュWi-Fiで選ぶ
上記3つのポイントについて紹介します。
アンテナの数で決める
Wi-Fi機器には、アンテナが内蔵されています。
Wi-Fi機器はアンテナの数が多ければ多いほど、通信速度が高速になるのです。
バッファロー製のWi-Fi6に対応しているWi-Fi機器で比較してみます。
1段目左 | WXR-6000AX12S | WXR-5700AX7S | WSR-5400 AX6S |
---|---|---|---|
最大通信速度 | 4803Mbps/5GHz:1147Mbps/2.4GHz | 4803Mbps/5GHz:860Mbps/2.4GHz | 4803Mbps/5GHz:573Mbps/2.4GHz |
アンテナの数 | 8本/5GHz:4本/GHz | 4本/5GHz:3本/2.4GHz | 4本/5GHz:2本/2.4GHz |
5GHzの最大通信速度は同じですが、2.4GHzの最大通信速度は大きく異なります。
とはいえ、アンテナの数が少ないWi-Fi機器でも573Mbpsの速度なので、ネットゲームや動画の視聴でも困ることはないでしょう。
バッファローやNECなどブランドで選ぶ
Wi-Fi機器をブランドで選ぶのもありです。
Wi-Fi6に対応している機器を販売している企業は、以下のとおり。
- バッファロー
- NEC
- エレコム
- TP-Link
- ASUS
- IODATA
中でもバッファローやNECは評価が高いのでおすすめです。
また、光回線を契約する際には、Wi-Fi機器を無料で貸し出してくれる事業者は多くあります。
費用を抑えられるので、好きなブランドがあれば使ってみるといいでしょう。
インテリアとしても活躍するメッシュWi-Fiで選ぶ
Wi-Fi機器はどれもゴツゴツしており、サイズも大きいので設置場所に困る人もいるでしょう。
そんな人には、メッシュWi-Fiがおすすめです。
メッシュWi-Fiのほとんどはサイズが小さく、おしゃれなデザインをしているので、どこに置いてもインテリアの邪魔になることはないでしょう。
また、通信が途切れにくいという特徴をもつWi-Fiルーターなので、利用機器が多い、部屋が多い方など、家中快適に利用したい方におすすめですよ。
まとめ
この記事では、Wi-Fi6のメリット・デメリットや古いWi-Fi規格と比較をしました。
Wi-Fi6は前バージョンのWi-Fi5よりも、約1.4倍も速い速度でのネット通信が可能です。
オンラインゲームを楽しみたい人や8Kや4Kでの動画視聴を楽しみたい人は、ぜひWi-Fi6を導入してみてくださいね。
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